パーントゥ

 宮古島北部・島尻集落に伝わる伝統行事です。旧暦9月、全身泥まみれの奇妙な格好をした3匹の神様が集落に現れ、人々、家、車に泥を塗りまくります。泥を塗られた者には無病息災が訪れるそうですが、なんとも奇妙な祭りです。正式にはパーントゥ・プナハといい、年に三回あるプナハ行事の最終回にあたります。(2003年撮影)


 17時ちょうど、集落の外れにあるウマリガー(産まれ井戸)から3匹のパーントゥが現れます。彼らはまず3匹一緒に集落内を一周し、各所で行われている屋外宴会に乱入します。まだ日は高いですが酒盛りの参加者達は相当酔っぱらっており、酒と泥の臭いが合わさって非常に臭かったです。
 集落内の宴会場を一周し終えたパーントゥは、1匹ずつ分かれ観客との鬼ごっこを開始します。私はその中の1匹を追跡し撮影することにしました。


 購買店の前で、勇敢なオバーがパーントゥに話し掛けてきました。パーントゥ役の男性の知り合いらしいですが、当然のごとく泥を塗られ悲鳴をあげている。アガッと大きな声を上げ、目を見開いた表情が大変面白いです。


 懲りているのか懲りていないのか、このオバーは他のパーントゥにも声を掛けては襲われていました。動きもコミカルで非常に面白いオバーでした。


 オバーを襲撃したのち、パーントゥはテレビカメラマン氏に背後から近づき泥を塗ります。パーントゥはその際、カメラマン氏のさびしげな頭に集中的に泥を塗り、養毛剤を塗るように手を動かしながら「髪の毛よ~」などとのたまっています。恐ろしげな風体に似合わず、なかなかお茶目な神様です。


 人が泥を塗られるのを見て笑っているうち、いつの間にか私も襲われてしまいました。気を抜いているとやられるようで、カメラこそ死守したものの全身泥だらけになってしまいました。私に泥を塗ったパーントゥは、次にパトカーを襲撃します。パトカーのボンネットに寝ころんで泥を塗り、お巡りさんを襲って張り倒す・・。島の外で同じことをしたら、逮捕されかねません。


 パトカー襲撃後もパーントウは精力的に泥を塗り続けます。新車に泥を塗り、壁に泥を塗り、新築の家にまで上がりこみ泥を塗ります。泥が乾けば本拠地である売店前に戻り、泥を充填して再度出陣するのですから手におえません。


 島尻集落にはこの日、宮古島中の子供が集まったのではないかというほど多くの子供たちが集結しており、3匹のパーントゥとの鬼ごっこを楽しんでいました。


 小さな子供達の中には、楽しむというより真剣に怖がっている子もおり、襲われた後何分も泣き止まない姿が見られました。無病息災の厄よけ効果があるそうですが、さぞ怖いのでしょう。


 疲れたパーントゥは一旦売店に戻りますが、隣で休憩していたおばさんを襲撃した後再び出陣します。


 彼らは道を歩く人だけではなく、集落内の新築の家も襲撃します。土足で新しい家に上がり泥をまき散らすパーントゥを必死に拒む家の様子は、申し訳ありませんが笑ってしまいました。


 幼い子供達達は必死になって怖がっていますが、小学校高学年・中学生にもなると友達とレクリエーション感覚で参加し、はしゃいでいました。


 20時ちょうど、終了の放送とともにパーントゥは闇へと消え、集落をあげての鬼ごっこは終了しました。

開催日
 新暦10月から11月の連続する2日間 17時頃から20時頃
メモ
 島尻集落は平良市街から車で30分程のところにある。タクシーで空港から2,500円程度、平良市街から2,000円程度。観光客も容赦なく泥を塗られるので、荷物は全て車に置き、カメラと体だけで参戦すること。着替えの持参必須、カメラは水中ハウジング等で防御したほうが良い。ケガ防止のためサンダルは止めた方がよい。なにがあっても相手は神様、すべて自己責任で訪問すること。
 受け入れキャパシティを超えた観客が流入することを防止するため、2010年頃から開催日は直前(数日前)まで正式決定・公表されないようになった。
パーントゥ写真集 2008→